手足口病について
手足口病は、主に乳幼児から小学校低学年くらいまでの子どもに多いウイルス感染症です。夏に流行しやすく、発熱、口の中の痛み、手・足・口まわり・おしりの発疹や水ぶくれが主な症状です。

症状 手足口病では、次のような症状がみられます。
- 発熱
- のどの痛み
- 口の中の水ぶくれ、口内炎
- 手のひら、足の裏、足の甲、口のまわりの発疹
- おしり、ひじ、ひざ、体・おなかの発疹
- 食欲低下、よだれが増える
- 口が痛くて飲めない、食べられない
発疹の多くは小さな赤いブツブツが出る軽症のもので、数日から1週間ほどで自然に回復します。なかには、手のひら・足の裏・口のまわりだけでなく、おしり、ひざ、ひじ、体幹など広い範囲に発疹が出るタイプもみられます。また、発疹が「とびひ」「水ぼうそう」「虫刺され」「湿疹」「川崎病」などと区別が難しい見た目になることもあります。
アトピー性皮膚炎などでもともと湿疹がある場合は、その部位が悪化することがあります。
原因・診断 手足口病は、エンテロウイルスの仲間によって起こります。
代表的なものに、コクサッキーウイルスA16・A6・A10、エンテロウイルスA71などがあります。潜伏期間は3〜6日程度です。 コクサッキーウイルスA6型では、39℃以上の高熱が出た後に大きめ・広範囲の発疹が出ます。 これらのウイルスにはインフルエンザのような迅速検査はありませんので、発熱のみの時にはまだ診断は困難です。発疹のみためや広がり方、その他の症状や地域での流行状況と合わせて診断しています。
当院では必要に応じて保健所を通じてのPCR検査を実施していますが、主に地域での流行状況を把握するためのもので、診断をするための検査ではありません。
治療 特効薬はありません。熱や痛みをやわらげながら自然に治るのを待つ「対症療法」が中心です。
口の中が痛いときは、無理に食べさせる必要はありません。まずは水分がとれているかが大切です。酸っぱいもの(フルーツを含む)、熱いもの、しみるものは避け、冷たい飲み物、ゼリー、プリン、アイス、冷ましたスープなど、のどごしのよいものを少しずつあげてください。

ご家庭で気をつけること
手足口病は、唾液、鼻水、便、水ぶくれの中の液などを通してうつります。アルコール消毒だけでは効果が不十分なことがあるため、石けんと流水での手洗いが大切です。特に、おむつ交換の後、トイレの後、食事の前はしっかり手を洗いましょう。
タオル、食器、コップ、歯ブラシの共有は避けましょう。兄弟間や親への感染もあります。
また、回復した後も数週間にわたって便中にはウイルスが排出されると言われています。おむつの処理は衛生的に行いましょう。

登園・登校について
発熱やのど・口の中の症状は多くは数日でおさまります。解熱している、よだれがなく食事や水分がある程度とれている、元気がある ー このような場合は、発疹が残っていても登園・登校は可能です。ただし、園や学校の方針がある場合はそちらに従ってください。一方で、発熱が長引いていたり、口が痛くて食べられない、水分がとれない、ぐったりしている、などの場合はお休みして再受診を考慮してください。

再受診の目安について
次のような場合は手足口病が診断済みでも、再度の受診をお勧めします。
- 水分がとれない、飲むと痛がって泣く、唾液が増える
- おしっこが少ない、泣いても涙が出ない、口の中が渇いている
- ぐったりしている(乳児の場合:哺乳が悪い)
- 高熱が続く(38.5℃以上)
- 頭痛、首の痛み、嘔吐、強い眠気がある、視線が合わない、けいれん
- 発疹が急に広がる、痛みが強い
- とびひのようにじゅくじゅくしている
口腔内の症状が強い場合は、特に乳幼児では脱水を起こすことがあります。また、まれですがエンテロウイルスA71型などのウイルスの型によっては髄膜炎や脳炎などの合併症が起こることがあります。特に、強い頭痛、繰り返す嘔吐、意識がぼんやりする、けいれんなどがある場合は、早めに受診してください。

大人への感染について
手足口病は大人へもまれにうつることがあります。多くの方は、手足口病の原因となるウイルスに既に感染してしまっていますので、お子さんが手足口病になってもうつることは通常はありません。しかし、感染の機会がなく免疫を持っていない場合には、感染し発症してしまいます。大人では発疹の痛みが強く、仕事や家事に支障が出ることもあります。手足口病のお子さんの看病をする際には、タオル等を共有しない、手洗いをこまめにする、などの対策を心がけましょう。

爪の変化について
手足口病が治って数週間たってから、爪が浮いたり、はがれたりすることがあります。多くは自然に新しい爪が生えてきます。ただし、痛み、赤み、腫れ、膿がある場合は受診してください。

アルコール消毒の予防効果について
手足口病の原因ウイルスには、アルコールが効きにくいものがあります。予防の基本は、石けんと流水による手洗いです。アルコール消毒も補助的には使えますが、トイレ後やおむつ交換後、食事前は手洗いをおすすめします。

手足口病の再感染について
1つのウイルス感染症に罹患すると、そのウイルスに対する抗体ができるので、同じウイルスには罹ることはありません。しかし、手足口病を起こすウイルスは数種類あり、流行している間に遺伝子の変化や組換えを起こしやすい特徴があります。そのため、昨シーズンに手足口病に罹っていても、今シーズンに流行しているウイルスの型が異なれば再度発症してしまうことがあります。ワクチンは開発中のものはありますが、2026年現在、使用可能なものはありません。



